エシカルとりっぷVol.1 天然ブルーをママの手で。気仙沼発“インディゴ染め”のベビーグッズ | エシカルペイフォワード/オーガニック、フェアトレードギフト

エシカルとりっぷVol.1 天然ブルーをママの手で。気仙沼発“インディゴ染め”のベビーグッズ

ブランドがつくられた背景や過程をお届けするエシカルとりっぷ。知る人ぞ知る生産現場の裏側に焦点を当ててみます。手にしているモノは誰がどのように作っているのか。もっとその商品を好きになる、そんな発見をお届けしていきます。

代表の藤村さん

 第1回の本日ご紹介するのは、藍染されたベビー用品とワークスタイル用品を生産・販売する「インディゴ気仙沼」です。「古きものを斬新な手法で」をコンセプトに天然染料にこだわったモノづくりをしています。インディゴ気仙沼は、気仙沼駅から徒歩10分のひと際目立つモダンな雰囲気の建物に事務所兼工房を構えています。昭和8年建築の工房は、歴史的建造物「旧平野本店店舗」で現在文化庁に有形文化財の申請準備中です。
 建物の中に入ると、どこか懐かしい雰囲気で、奥の三和土(たたき)には藍染をするための甕(かめ)が3つ。普段のモノづくりの様子の想像を掻き立てられる、工房兼事務所の1階には、気仙沼の若いママたちの手で藍染を施したストールやベビー甚平、ベビーモスリン、おむつぶくろなどが並んでいます。商品一つ一つの色合いに個性があり、手仕事だからこその魅力があります。
 今回は、私が気仙沼を訪れ、代表の藤村さやかさんに商品への思いやブランドの設立経緯についてお伺いしました。

1、厳しい環境の中で生まれた温かい産業

 インディゴ気仙沼を立ち上げたきっかけは、気仙沼で子どもを育てながら働ける場所を作りたいと思ったから。
 気仙沼市の所得は年間約266万円で周辺地域よりも安く、出産してからすぐに職場復帰する必要があるにも関わらず、東日本大震災後、児童館などの子育て支援施設が次々と閉鎖されてしまいました。藤村さんが移住した2013年当時、子どもを0歳児から預けられる施設は市内数カ所のみで、定員はたった20名足らず。そうして、待機児童は増え、ママたちが子育てをしながら働くことが困難な環境がつくられていました。藤村さんは、小さい子どもをおんぶしながら空いた手で仕事ができる藍染工房を構えようと決意。同じことで困っていた周りのママたちとともに、インディゴ気仙沼を設立しました。

代表の藤村さん

2、顧客は赤ちゃん!圧倒的な素材へのこだわり

 ブランドの名前にもあるインディゴとは、鮮やかな藍色の色素のことを指します。青い色素を含む葉っぱは、そのなかに存在している間は“インディカン”という物質ですが、紫外線と酸素に触れるとインディゴに変性します。この植物を使って染めたものを、日本では藍染と呼んでいますが、インディカンという色素を含む葉っぱは世界に数十種類あるうえ、その国、地域によって染め方にも違いがあります。
インディゴ気仙沼では、化学物質を使って色を作りだす手法ではなく、ふすまや石灰などをつなぎに使う、“天然”にこだわったモノづくりをしています。日本の伝統的な「天然灰汁発酵建て」と並行して、世界中のインディゴ染めのレシピを研究し、寒い気候ならではの染料の醸造にも挑戦しています。
 “いま、インド藍の甕(かめ)には果糖を使っているのですが、自分たちでその砂糖も作れないかなと思って、白いアルビノ種のビーツを畑で作って、砂糖づくりの研究もしてみています。自分たちが土から出るのをきちんと目で見たものを使いたいと思ったんです。ママとして自分たちが作りだす作品に、責任を持つっていうのは、原材料表示できるアパレル・雑貨をつくることかな、と。”
 化学物質を使った手法は、ムラができにくく、天然建てに比べて手間がかからない一方で、劇物指定されているハイドロサルファイトなどを生産過程で使うことになります。赤ちゃんに触れるものだからこそ、素材にも責任を持ちたいという藤村さんは天然染料にこだわりをもちます。

青色色素インディゴ

工房で染める

3、幻の藍草、パステルの復活

 インディゴ気仙沼では、染料の原料から自家栽培するため、藍植物の栽培にも着手しました。自家栽培を始めたときに最初に育ててみた素材は、日本でよく使われるタデ藍でした。しかし、暖かい地域に適した性質のため、気仙沼では収穫量が少なくなることがわかり、断念。
 一年を通して寒冷な気仙沼の気候条件にあう藍を探す中で出合ったのが、16世紀のヨーロッパ伝統の“パステル”染料です。パステル染料は、17世紀に、色を取り出しやすいインド藍や化学染料に取って代わられ使われなくなった幻の染料です。ヨーロッパでパステル栽培が盛んだった時代の土地の気候が、偶然にも気仙沼の気候と一致。運命的な出合いを感じ、2016年から気仙沼で栽培を始めました。
 “寒い季節だからこそうまく育つ、インディカンを含む植物で調べたところ、行きついたのがパステルです。気仙沼の強みは気候。専門家の方に気候を調べていただいたところ、気仙沼はヨーロッパの西岸海洋性気候に酷似しています。ちょうどパステルが一大世紀を築いた南仏地域と重なるんです。本場に似ている気仙沼の気候だからこそうまくいくことがありました。”
 藤村さんにとってパステルは、試行錯誤の中で引き当てた金塊のようなものであると言います。
 “パステルが海を渡って、気仙沼に来たがっていたんだと感じます。
自分の意志でやっている感じはしません。大きな流れがあって、そこで与えられた役割を全うするまでだと。“

パステル畑

2017年に収穫したパステル染料

4、気仙沼ブルーは稀少性のある上品な青色

 天然染料を使ったインディゴ染めは、地域や染め方、原料によっても色の濃淡が違ってきます。藤村さんは、その色の違いこそが魅力であり、オリジナリティなのだと語ります。

 “インディゴ植物が農作物である以上、ワインのブドウのテロワールみたいな売り方ができるんじゃないかと思っています。気仙沼だからこそこの色ができるよね、とか徳島だからこの色ができるよねとか、その土地だからこそ染めにいこうとか、そういう風になってもいいんじゃないかと。だから私たちには私たちにしかできない植物を栽培して、それで染めていきます。”

 インディカンの含有率が低いパステルで染めたものは、ペールがかったパステルブルーから、渋みのある落ち着いた大人のブルーに染まるといいます。そんな気仙沼らしい“ブルー”を生み出すため、試行錯誤は続きます。

5、ママにうれしい商品ラインナップ

 新しい植物に挑戦しつつも、いま現在の商品のラインナップは、妊娠中から子育てしていく過程のなかで使えるママベビー用品と、畑作業や染め作業を行うメンバーの声から生まれたワークシリーズです。

 畑仕事をする際にお肌を紫外線から守り、気分が上がるかわいいデザインの“ワークエプロン”(かっぽう着)は、ブルーに染められ、思わず手に取りたくなるモダンな印象です。ここで働くママたちも、パステル畑や工房での作業時に実際に着用しているそうで、仕事には欠かせないアイテムになっています。 

インディゴ気仙沼で取り扱う商品(一部)

ワークエプロンを着て農作業する様子

6、最後に

 藤村さんは、気仙沼に来た当初、知り合いがいない中、気仙沼の寒い天気と呼応するかのように気持ちも落ち込んでいたそうです。
 今では、この寒い気候ならではの恵みを表現したいと語る藤村さん。“インディゴ染め”が気仙沼を自分らしく輝ける場所に変え、それは周囲半径1メートル以内のママにとっても、大切な工房になっています。気仙沼ブルーをまとったママたちが、街中にあふれる日も近いかもしれません。

気仙沼の景色

気仙沼の港町

ベビーモスリン

<商品はこちらから>
 エシカルペイフォワードでは、5月上旬よりインディゴ気仙沼さんがNPO法人ピースジャムさんと一緒に作っているベビーモスリンを販売します。<詳細はこちらから(coming soon!)>
 ベビーモスリンはイギリスで人気のベビーグッズ。沐浴のタオルとしても、ちょっとした毛布としても、よだれ拭きとしても使える万能布です。
 5月6日は大安吉日の戌の日!新しい家族を迎える前の水天宮へのお参りの折に、ぜひエシカルペイフォワード本店(水天宮駅から徒歩5分)にお越しください!
<文:菅原悠衣子>

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